LINE公式アカウントは、企業が顧客の生活時間にどう入り込み、行動を促しているかがよく見えるチャネルです。今回は、出前館から実際に受信したLINEを2026年5月9日から8月9日までの3か月間追跡しました。
確認できたのは139配信、79日。配信日時、本文、CTA、リンク、画像カードを保存し、出前館が「食べたい瞬間」をどのようにつくっているのかを分析します。
※本記事は受信者として閲覧できたPC版LINEの表示内容をもとにした独自調査です。出前館およびLINEヤフー株式会社の公式見解ではありません。
3か月追跡して見えた結論
- 昼食前と夕食前へ配信を集中。11時・16時・17時台が全体の93%を占めました。
- クーポンを配って終わらない。月初付与、残存通知、期限直前の再通知で利用まで追いかけます。
- 「何を食べるか」より先に「今日頼む理由」をつくる。母の日、丑の日、暑さ、雨、週末、観戦など生活場面を起点にしていました。
- 加盟店・出前館・LYPプレミアムの価値を重ねる。商品割引、お店価格、送料無料、会員限定クーポンを一つの配信導線で束ねています。
配信量は139件、79日で接触
3か月で確認できた配信は139件。配信があった日は79日で、期間の大半で何らかのコミュニケーションが届いていました。月別では5月28件、6月52件、7月46件、8月9日までに13件です。
1日1回に限定せず、クーポンの案内と加盟店商品の紹介など、目的の異なる配信を同日に重ねるケースもあります。高頻度でも同じ話題だけにせず、「価格」「メニュー発見」「利用場面」「エンタメ」の役割を分けている点が特徴です。
11時と夕食前に「食べる理由」を届ける
配信時間は17時台が55件、11時台が44件、16時台が30件でした。この3時間帯だけで129件、全体の92.8%です。
11時台はランチ直前、16〜17時台は夕食を考え始める時間です。チャネル都合の一斉配信ではなく、ユーザーが注文を決める生活時間から逆算していると考えられます。
クーポンを「付与→想起→利用」まで追いかける

クーポンへの言及は72件、期限・残数リマインドは18件で確認できました。月初には「クーポンが届いています」、月中には「クーポンが残っています」、月末には「明日まで」「まだ使っていないクーポンがあります」と表現を変えます。
未利用クーポンを再提示し、保有から利用へ進めるリマインド
単発の割引告知ではなく、同じベネフィットをユーザーの状態に合わせて言い換える設計です。CRMとして見ると、付与がスタート地点であり、利用までの想起支援に力を入れています。
加盟店の値引きと出前館の基盤価値を重ねる

半額・50%オフの言及は45件、「お店価格」は22件、「送料無料」は16件でした。加盟店の商品を安く見せるだけでなく、出前館で頼む理由を同じ配信内に重ねています。
50%オフ、対象店舗検索、最大1,500円分クーポンを一つの導線に集約
画像内のCTAは「ご注文はこちら」「近くの対象店舗を探す」「クーポンの詳細をチェック」など具体的です。80件で注文行動につながる表現が確認でき、配信から遷移後の行動が明確でした。
季節イベントを「今頼む理由」に変える

母の日には家族の好みに合わせやすいファミレス、父の日にはごちそう、土用の丑の日にはうなぎ、夏休みにはピザと冷たいドリンクを提案。商品の特徴から始めるのではなく、その日に起きる食卓の課題から配信を組み立てています。
季節需要と値引きを結びつけ、注文の理由を具体化
この設計は、日常的に使う必然性がないデリバリーサービスにとって重要です。ユーザーの頭の中にある「今日は何を食べよう」を、「今日は出前館を使おう」に変換しています。
キャンペーンは開始と終了だけでなくシリーズ化


ピザ半額祭では開始告知と本日最終日の再告知を実施。スパイダーマンとのコラボでは、開始、限定LINEスタンプ、特別セット、終了3日前のリマインドまで接触を継続していました。
注文訴求以外の接点をつくる、コラボLINEスタンプ
同じキャンペーンを最終日に再提示し、緊急性を高める
施策を一度だけ伝えるのではなく、認知、参加、再想起、締切の段階に分けています。コンテンツを変えながら同じキャンペーンの接触回数を増やすことで、配信頻度の高さを単純な繰り返しに見せない工夫です。
LYPプレミアムを出前館の利用理由に組み込む

LYPプレミアムへの言及は18件。最大3,000円分のクーポン、対象店舗の300円オフ、初回登録1か月無料、LINEスタンプ使い放題などを案内していました。
出前館の注文メリットとLYPプレミアムの会員価値を同時に訴求
出前館のLINEを、単なる加盟店販促だけでなく、グループ会員サービスの価値を実感させる接点として使っています。金銭的メリットとLINEの体験特典を横断させ、会員継続の理由を増やす役割も担っています。
自社のLINE運用に活かせる5つの視点
- 配信時間を利用場面から決める。開封率だけでなく、顧客が商品を必要とする直前を狙う。
- 特典を配って終わらせない。未利用、残数、締切に合わせてコピーを変える。
- 生活イベントから需要をつくる。商品説明より先に、その日に行動する理由を提示する。
- 同じキャンペーンを段階配信する。開始、参加促進、再想起、最終日で役割を分ける。
- CTAを具体化する。遷移後に「注文」「検索」「獲得」の何ができるかを明示する。
まとめ
出前館のLINE CRMは、高頻度な配信を「食べたい時間」「今日頼む理由」「使える特典」の3つで成立させていました。11時と夕食前に需要を捉え、季節・天候・イベントで利用場面をつくり、クーポンの付与後も期限まで継続して追いかけます。
重要なのは、配信回数そのものではありません。一つひとつの配信に、顧客の生活時間と次の行動を結びつける役割があることです。出前館の3か月から見えたのは、LINEを通知面ではなく、需要をつくって利用まで伴走するCRMチャネルとして使う設計でした。
