医療保険やヘルスケア分野では、「どのような属性を持つ人ほど医療費が高くなる傾向にあるのか」を把握することが、健康増進施策やリスク管理を考える上で重要なテーマです。
* 年齢・性別・体格(BMI)・家族構成・地域・喫煙習慣のうち、医療費との関連がもっとも大きいのは何か
* それぞれの要因は、単独でどの程度の差を生むのか
* 複数の要因が重なったとき、医療費はどこまで増加するのか
今回分析したのは、外部公開されているkaguru(カグル)の医療保険加入者1,338人分の属性情報と年間医療費(charges)データです。
Power BIで1ページのダッシュボードに整理してみると、医療費との関連がもっとも大きい要因は「喫煙習慣」であり、さらに「喫煙×BMI」の組み合わせで医療費が大きく増加する傾向が見られました。
医療費を左右する要因 分析ダッシュボード(全体)

全体像:加入者1,338人の平均年間医療費は212.3万円
* 加入者数:1,338人
* 平均年間医療費:212.3万円
* 中央値:150.1万円
* 平均年齢:39.2歳
* 平均BMI:30.7
* 喫煙者比率:20.5%
喫煙の有無だけで、平均医療費は3.80倍の差
区分 : 件数 : 平均年間医療費
喫煙者 : 274人 : 512.8万円
非喫煙者 : 1,064人 : 134.9万円
加入者全体のうち喫煙者は20.5%ですが、その平均医療費は非喫煙者の 3.80倍 となっています。
年齢・性別・BMIなど他の要因と比較しても、喫煙の有無が医療費との関連がもっとも大きい要因であることがわかります。
年齢が上がるほど医療費は増加するが、喫煙の影響はさらに大きい

年齢帯 : 平均年間医療費
18-29歳 : 146.9万円
30-39歳 : 187.8万円
40-49歳 : 230.4万円
50-59歳 : 263.9万円
60歳以上 : 339.9万円
年齢が高くなるにつれて平均医療費も増加する傾向が見られます。
さらに年齢帯と喫煙区分を組み合わせて見ると、喫煙者と非喫煙者の差がより明確になります。
年齢帯 : 喫煙者 : 非喫煙者
18-29歳 : 440.3万円 : 70.7万円
30-39歳 : 484.3万円 : 101.4万円
40-49歳 : 522.5万円 : 146.9万円
50-59歳 : 600.1万円 : 204.0万円
60歳以上 : 650.1万円 : 243.7万円
18〜29歳の喫煙者の平均医療費(440.3万円)は、60歳以上の非喫煙者(243.7万円)を上回っています。
このデータでは、年齢よりも喫煙習慣の方が医療費との関連が大きいことが示されています。
BMIと喫煙の組み合わせで医療費はさらに高くなる
BMI区分別に見ると、肥満(BMI30以上)の加入者の平均医療費がもっとも高くなっています。
BMI区分 : 件数 : 平均年間医療費
低体重 : 20人 : 141.6万円
標準 : 225人 : 166.5万円
過体重 : 386人 : 175.8万円
肥満 : 707人 : 248.8万円
[BMI区分別 平均年間医療費]

さらに喫煙区分とBMI区分を組み合わせると、両方のリスク要因を持つ層で医療費が大きく増加する傾向が見られます。
喫煙区分 : BMI区分 : 件数 : 平均年間医療費
非喫煙者 :| 低体重 : 15人 : 88.5万円
非喫煙者 : 標準 : 175人 : 123.0万円
非喫煙者 : 過体重 : 312人 : 132.1万円
非喫煙者 : 肥満 : 562人 : 141.5万円
喫煙者 : 低体重 : 5人 : 301.0万円
喫煙者 : 標準 : 50人 : 319.1万円
喫煙者 : 過体重 : 74人 : 360.0万円
喫煙者 | 肥満 | 145人 | 664.9万円
「非喫煙者・低体重」と「喫煙者・肥満」を比較すると、その差は7.5倍以上に達しています。
特に喫煙と肥満が重なる層では、医療費が高くなる傾向が顕著に表れています。
[BMI区分×喫煙区分別 平均医療費]

性別・扶養家族数・地域による差は比較的小さい
切り口 :| 内容
性別 : 男性223.3万円・女性201.1万円
扶養家族数 : 0人197.9万円→3人245.7万円まで緩やかに増加
地域 : 197.5万円〜235.8万円の範囲
[地域別 平均年間医療費]

これらの要因にも差は見られますが、喫煙やBMIによる差と比較すると影響は限定的です。
このデータから見えてくること
1. 喫煙の有無は、医療費との関連がもっとも大きい要因である
2. 喫煙と肥満が重なる層では、医療費が特に高くなる傾向が見られる
3. 性別・扶養家族数・地域による差は比較的小さい
なお、本分析は観察データに基づくものであり、喫煙や肥満が直接的に医療費を増加させることを証明するものではありません。ただし、これらの要因と医療費との間に強い関連が見られることは確認できます。
データを「現状把握」から「行動のヒント」へ
平均医療費という数字だけでは、どのような層に着目すべきかは見えてきません。
しかし、喫煙習慣・BMI・年齢といった切り口を組み合わせて可視化することで、
* 高医療費層の特徴を把握する
* 健康増進施策の優先順位を検討する
* リスク要因ごとの傾向を理解する
といった示唆を得ることができます。
Power BIで可視化すると、データは単なる集計結果ではなく、次のアクションを考えるための材料になります。
※本記事は公開されているサンプルデータセットを用いた分析例です。実際の保険料算定や医療費予測を目的としたものではありません。
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