「アプリがバラバラ」問題
顧客管理アプリには、会社名・電話番号・担当者といった顧客の情報がすでに入っています。ここで案件管理アプリを別に作ると、案件を登録するたびに同じ顧客情報をもう一度入力することになります。
これには2つの問題があります。
- 二度手間 — すでにどこかにある情報を、また打ち込む
- 表記ゆれ — 「株式会社サンライズ商事」「サンライズ商事」「サンライズ」と、人や場面によって書き方がバラつく。こうなると、後で名寄せ(同じ会社をまとめること)ができなくなります
情報は「1か所に持ち、他はそこを参照する」のが基本です。これを実現するのがルックアップです。
ルックアップとは
ルックアップは、別のアプリのデータを、キーになる項目で照合して取り込むしくみです。
[アプリ間連携(ルックアップ)の仕組み]

案件管理アプリに「顧客会社名」というルックアップ項目を置き、参照先を顧客管理アプリに設定します。会社名をキーにして顧客管理アプリを検索し、見つかったレコードから電話番号や担当者をそのままコピーして持ってくる、という動きです。
大事なのは、顧客情報の"正本"はあくまで顧客管理アプリ側にあるという点です。案件管理アプリはそれを参照しているだけなので、同じ情報を二重に管理することになりません。
実際の動き
言葉より、動きを見たほうが早いので、実際の操作を追ってみます。案件の登録画面で、顧客会社名の「取得」ボタンを押すところからです。
[ルックアップで顧客情報を取り込む様子]

「取得」を押すと顧客管理アプリの一覧が開き、そこから顧客を選ぶだけで、電話番号と担当者が自動で入ります。「参照先からデータが取得されました」と表示され、手入力はゼロです。会社名を一文字も打たずに、正確な顧客情報が案件側にそろいました。
設定のポイント
ルックアップ項目の設定で決めるのは、主に3つです。難しい設定はありません。
[案件管理アプリの登録画面(ルックアップ付き)]

1. 参照するアプリ
どのアプリの情報を持ってくるか。ここでは顧客管理アプリを指定します。
2. キーにする項目
どの項目で照合するか。ここでは「会社名」です。キーは、その値で相手を一意に特定できる項目を選ぶのがコツです。会社名が重複しうるなら、顧客コードのような一意な項目をキーにするとより確実です。
3. コピーしてくる項目
参照先のどの項目を、こちら側のどの項目に取り込むか。ここでは電話番号→顧客電話番号、担当者名→顧客担当者、というように対応づけます。
何が嬉しいか
ルックアップでアプリをつなぐと、次のような効果があります。
- 二度入力しない — すでにある情報を打ち直さないので、手間もミスも減る
- 表記が揃う — 顧客管理にある正しい表記がそのまま入るので、表記ゆれが起きない
- 直すのは1か所 — 顧客の電話番号が変わっても、顧客管理アプリを直せばよい。案件側は参照しているだけなので、修正が一元化される
バラバラだったアプリが、会社名という共通のキーでつながった仕組みになります。
よくある失敗
キーにする項目の選び方を間違える
会社名のように重複や表記ゆれが起きやすい項目だけをキーにすると、照合がうまくいかないことがあります。可能なら、顧客コードのような一意で変わりにくい項目をキーに持たせておくと安定します。
何でもかんでも取り込む
参照先の項目を大量にコピーしてくると、案件側の画面が重く見づらくなります。その業務で本当に必要な項目だけを取り込むようにします。
参照元を整えないまま連携する
ルックアップは参照元のデータの質をそのまま引き継ぎます。顧客管理側が表記ゆれだらけだと、案件側にもそれが伝わります。連携の前に、まず参照元のデータを整えておくことが大切です。
まとめ
- 業務は1つのアプリでは完結しない。同じ情報を複数アプリに手入力すると、二度手間と表記ゆれが起きる
- ルックアップは、別アプリのデータをキー項目で照合して取り込むしくみ。情報の正本は参照元に1つだけ持つ
- 案件登録画面で「取得」を押し、顧客を選ぶだけで、電話番号・担当者が自動で入る
- 設定で決めるのは「参照するアプリ」「キーにする項目」「コピーしてくる項目」の3つ
- 二度入力しない・表記が揃う・直すのは1か所、という効果でアプリ同士がつながった仕組みになる
- キーは一意で変わりにくい項目を選ぶ。取り込む項目は必要なものだけに絞る
次回は、標準機能だけでは足りない部分を補う「プラグイン・カスタマイズ」を扱います。ノーコードで広げられる範囲と、その一歩先の話です。
アプリ間連携は、機能の設定に見えて、実際には「自社の業務で、どの情報がどこを正本にして流れているのか」を設計する作業です。顧客の情報は顧客管理に、案件の情報は案件管理に、というように「どのデータをどこで持つか」を決めることは、会社の情報の持ち方そのものを整理することにほかなりません。
そして、こうしてアプリ同士がキーでつながっていると、あとからデータを横断して見るのが一気に楽になります。「どの顧客ランクの会社に、どれだけの金額の案件があるか」といった、複数アプリをまたいだ集計は、アプリがバラバラのままでは手作業でつなぎ合わせるしかありませんが、ルックアップでつながっていれば自然に追えるようになります。
さらに、キーで結ばれた複数アプリのデータは、Power BIに取り込むときにも威力を発揮します。顧客・案件・売上といったアプリをまたいで、「顧客ランク別の受注金額」「担当者別のパイプライン」といった経営指標を、1つのダッシュボードに束ねられるようになります。日々の入力アプリと、経営で見る数字が、同じデータでつながっている状態です。
UDATAでは、kintoneの導入サポートを行っています。どの業務からアプリ化すべきかの選定、後の分析まで見据えた項目設計、現場が毎日使う画面づくり、業務の流れをかたちにするプロセス設計、役割に基づく権限設計、そして複数アプリを連携させた仕組みづくりから、蓄積したデータのPower BIによる可視化まで、一貫してご支援しています。
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