[従業員離職分析ダッシュボードの全体像]

全体像 ― 7人に1人以上が離職
まず全体から確認します。1,470名のうち離職したのは237名で、全体の離職率は16.1%。おおよそ7人に1人以上が辞めている計算です。この16.1%を基準線として、「どの属性の人が、この平均より高い(低い)か」を見ていきます。
以降で見るとおり、離職率は属性によって大きく変わります。最も低いグループ(研究責任者2.5%)と最も高いグループ(営業担当39.8%)では、実に16倍の開きがあります。「一律に離職を減らす」のではなく、「どこにリスクが集中しているか」を見極めるのが第一歩です。
残業が、最大の分かれ道
単一の項目で最も差が出たのが「残業の有無」です。
[残業有無別の離職率]

残業 | 離職率 | 人数 |
|---|---|---|
あり | 30.5% | 416名 |
なし | 10.4% | 1,054名 |
残業がある人の離職率は30.5%で、ない人(10.4%)の約3倍です。残業は「一時的に忙しいだけ」に見えて、慢性化すると離職の強力な予兆になっている、ということです。裏を返せば、残業の偏りを見つけて是正することは、そのまま離職対策になる可能性が高いといえます。
職種で、これだけ違う
次に職種別です。同じ会社でも、職種によって離職率はまったく違います。
[職種別の離職率]

職種 | 離職率 | 人数 |
|---|---|---|
営業(担当) | 39.8% | 83名 |
研究補助 | 23.9% | 259名 |
人事 | 23.1% | 52名 |
営業(主任) | 17.5% | 326名 |
研究員 | 16.1% | 292名 |
製造管理 | 6.9% | 145名 |
医療渉外 | 6.9% | 131名 |
管理職 | 4.9% | 102名 |
研究責任者 | 2.5% | 80名 |
最も高いのは営業(担当)の39.8%で、5人に2人が辞めています。一方、管理職や研究責任者といった上位職は5%以下。入口に近い若手中心の職種ほど離職率が高く、上位職ほど低いという構造が見えます。部署別に見ても、営業部門(20.6%)が研究開発部門(13.8%)を上回っており、職種・部門による差は無視できません。
辞めやすいのは「入社まもない・若い・低月収」
では、どんな状態の人が辞めやすいのか。勤続年数・年齢・月収の3つで見ると、共通した傾向が浮かびます。
[勤続年数帯別の離職率]

勤続年数で見ると、入社0〜2年の離職率が29.8%と突出して高く、そこから勤続とともに下がっていきます(3〜5年13.8%、6〜10年12.3%、11〜20年6.7%)。最初の数年をどう乗り越えてもらうかが勝負だとわかります。
[月収帯別の離職率]

月収でも同じ向きの傾向が出ます。月収が下位25%の層は離職率29.4%で、上位25%(10.3%)の約3倍。実際、離職した人の平均月収は、在籍している人より30%低いという結果でした。
[年齢帯別の離職率]

年齢では、24歳以下が39.2%と際立って高く、35〜44歳(10.1%)まで下がり、そこからは横ばいです。若く、入社してまもなく、給与も相対的に低い——この3つは重なりやすく、「入社初期の若手・低処遇層」に離職リスクが集中していることを示しています。
満足度と婚姻状況も効く
補足として、職務満足度が最も低い層(満足度1)の離職率は22.8%で、最も高い層(満足度4)の11.3%の約2倍でした。また独身者の離職率は25.5%で、既婚者(12.5%)の2倍です。満足度は下げないよう手を打ち、独身・若手が多い職場ほどフォローを厚くする、といった読み方ができます。
まとめ
- 全体の離職率は16.1%。ただし属性で大きく異なり、最小2.5%〜最大39.8%まで16倍の開きがある
- 単一項目で最大の差は残業の有無。残業ありは30.5%で、なし(10.4%)の約3倍
- 職種差が大きい。営業(担当)39.8%が突出、管理職・研究責任者は5%以下。部署でも営業>研究開発
- 勤続0〜2年29.8%、24歳以下39.2%、月収下位25%が29.4%。入社初期・若手・低月収に集中
- 離職者の平均月収は在籍者より30%低い。満足度が低い層・独身層も離職率が約2倍
- 「一律に減らす」より「リスクが集中する層(残業の多い若手・低処遇)」に絞って手を打つのが効率的
離職は、年齢・給与・残業・満足度といった複数の要因が重なって起きます。どれか一つを見るのではなく、「どの層に、どのリスクが重なっているか」を掴むことが、限られたリソースでの効果的なリテンションにつながります。
CSVの数字だけでは見えてこないもの
今回使ったのは、35項目・1,470行の従業員データです。このままExcelで開いても、「残業ありの離職率は?」を出すには、フィルターをかけて件数を数え、割り算をして……という作業を項目の数だけ繰り返すことになります。年齢・職種・月収と切り口を変えるたびに同じ手作業が発生し、しかも数え間違いも起きやすい。ローカル保存やファイルサーバー中心のExcel運用では、こうした多角的な集計を継続的に回すのは簡単ではありません。
Power BIで可視化すると、こうした切り口ごとの離職率が一度に、しかも常に最新の状態で見えるようになります。残業・職種・勤続・年齢・月収を並べて眺めれば、「どこにリスクが集中しているか」がひと目で分かります。「なんとなく若手が辞める」という肌感覚を、「24歳以下の離職率は39.2%で全体の2.4倍」という具体的な数字に変換できるのが可視化の価値です。
さらにPower BIのスライサー(フィルター機能)を使えば、「営業部門だけ」に絞って年齢別の離職率を見たり、「残業ありの人だけ」で職種別の傾向を確認したりと、知りたい切り口に応じて自由に掘り下げられます。人事は全社の傾向を、各部門長は自部門だけを、同じダッシュボードから取り出せる点も、現場で使ってもらううえで大きな利点です。
このようにPower BIは、単なるグラフ作成ツールではなく、複数のデータを統合し、継続的に更新・活用できる分析基盤として機能します。今回のような従業員データに限らず、勤怠・給与・評価・エンゲージメント調査といった社内のデータと組み合わせることで、「残業時間と離職率の関係」「部門別の定着率の推移」といった、自社固有の指標を継続的に追いかけることが可能になります。
UDATAでは、こうしたデータ分析・ダッシュボード構築の支援を行っています。「離職の要因を数字で把握したい」「勘に頼らない人事の打ち手がほしい」「データはあるが可視化まで手が回っていない」といったお悩みがございましたら、ぜひ[こちらからお問い合わせください▶ UDATAへのお問い合わせ
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出典:Kaggle「IBM HR Analytics Employee Attrition & Performance」(pavansubhasht/ibm-hr-analytics-attrition-dataset、DbCL-1.0)
当該データをUDATA株式会社が加工して作成
