YouTubeの「急上昇(トレンド)」に入る動画には、どんな共通点があるのでしょうか。アメリカ・イギリス・日本など10カ国、20万本超のトレンド動画データをPower BIで分析し、「量」と「質」、そして「国ごとのヒットの残り方」の違いを読み解きました。

分析対象は、2017年11月〜2018年6月(日本のみ2018年2月〜)にかけて10カ国(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・カナダ・ロシア・メキシコ・韓国・日本・インド)でトレンド入りした動画、のべ20万5,064件(重複を除いた動画×国単位)です。
・トレンド動画の平均再生回数は約53万回
・平均再生回数:約53万回
・平均高評価数:約1万6,000件
・平均エンゲージメント率(高評価+低評価+コメント/再生回数):4.4%

平均再生回数は53万回ですが、中央値はこれよりもずっと低く、ごく一部の
「バズった動画」が平均を大きく押し上げていることが分かります。トレンド入り=即・爆発的ヒットではなく、多くは数十万回〜百万回台の再生数で、突出した
数千万〜数億回クラスの動画はほんの一握りです。

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投稿数トップの「エンターテインメント」より「音楽」が稼ぐ

カテゴリ別に見ると、興味深い逆転現象があります。


エンターテインメント:トレンド動画数60,572件(全体の29.5%)で断トツ最多。しかし平均再生回数は49万回で、全体平均(53万回)をやや下回る


音楽:トレンド動画数は13,800件(全体の6.7%)と、エンターテインメントの4分の1以下。しかし平均再生回数は250万回と、全体平均の4.7倍
エンゲージメント率も5.8%と平均を大きく上回る。

つまり「投稿数が多いカテゴリ=稼げるカテゴリ」ではありません。エンターテインメントはコンテンツの供給量そのものが多いために単純にトレンド入りする本数が多い一方、音楽はヒットすれば桁違いの再生回数を叩き出す「ホームラン型」のカテゴリだと言えます。
ゲーム・科学技術・ハウツーといったカテゴリはエンゲージメント率(6%台)は
音楽と同水準かそれ以上で、再生回数の絶対値は控えめながら「濃いファン層」がついていることがうかがえます。

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※上図は、カテゴリ別平均動画再生回数 下図は、カテゴリ別動画数


イギリス・アメリカは「一度当たれば長く残る」市場

国別の再生回数にも大きな差があります。

イギリス:平均再生回数481万回でトップ。ただしトレンド動画数はわずか3,272件と10カ国中最少

アメリカ:平均再生回数196万回で2位。トレンド動画数も6,351件と少なめ

他8カ国(ドイツ・フランス・カナダ・ロシア・メキシコ・韓国・日本・インド)は平均再生回数20万〜84万回、トレンド動画数はいずれも1万2,000件超
さらに「平均トレンド入り日数(同じ動画が何日間トレンドに残り続けたか)」を見ると、この差はもっとはっきりします。

イギリス:平均48.5日
アメリカ:平均28.3日
 他8カ国の平均:2.5日
イギリス・アメリカ市場は、一度トレンドに入った動画が1ヶ月以上残り続ける
「ロングヒット型」。一方、他の8カ国は数日で入れ替わる「高回転型」のトレンド市場だと言えます。同じ「トレンド入り」でも、国によって動画の"寿命"がまったく違うのです。

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※上図は、国別平均再生回数 下図は、国別トレンド入り日数


投稿タイミング:金曜投稿がもっとも再生回数を伸ばす

投稿の曜日別に平均再生回数を見ると、金曜日に投稿された動画が
71万4,000回ともっとも高く、投稿本数(32,692件)も週内最多でした。
土曜・日曜はいずれも平均40万回台にとどまり、週末は「見る側」に回る人が多い一方、「投稿する側」のピークは週末直前の金曜に来ている可能性があります。
投稿時刻については、16〜17時台に投稿本数が集中(1日のピーク)していますが、必ずしもこの時間帯の動画がもっとも再生されているわけではなく、14時台(平均55.6万回)などにも再生回数の高い時間帯が見られました。
「みんなが投稿する時間=もっとも有利な時間」とは限らない点は、投稿戦略を考えるうえで示唆的です。

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※上図は、投稿曜日別平均再生回数 下図は、投稿時刻別動画数


比較的はっきり言えそうなこと

・トレンド入りの本数が多いカテゴリ(エンターテインメント)が、必ずしも
 再生回数で稼げているわけではない。
・音楽カテゴリは投稿数こそ少ないが、平均再生回数・エンゲージメント率ともに  
 圧倒的に高い「ホームラン型」カテゴリ
・イギリス・アメリカは一度ヒットした動画が長く残る「寿命の長い」市場
・他の多くの国は動画が数日単位で入れ替わる「高回転型」の市場
・金曜日の投稿は週内でもっとも平均再生回数が高く、投稿本数も多い

行動のヒントへ

コンテンツの「本数」で勝負するか、「音楽的・エンタメ的なフックの強さ」で勝負するかによって、狙うべきカテゴリ戦略は変わってくる。
ロングヒットを狙うならイギリス・アメリカ市場のトレンド構造(ヒットの持続力)を参考に、逆に多くの動画で露出機会を稼ぎたいなら高回転型市場の投稿頻度戦略が参考になる。
投稿曜日は金曜前後を軸に検討しつつ、投稿本数が集中する時間帯(16〜17時)をあえて外して競合の少ない時間帯を狙う、という逆張りの余地もありそうだ

※本分析はKaggle公開データ「Trending YouTube Video Statistics」

(2017年11月〜2018年6月、日本のみ2018年2月〜)に基づくものです。

最新のYouTubeトレンド動向とは異なる可能性があります。


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