はじめに

月次レポートの会議。

「売上は伸びてる?」と聞かれて、あなたはこう答える。

全体売上:1,200万円(前月比 +8%)

でも次の質問で止まる。

「どのチャネルが効いてるの?」

「新規と既存、どっちが伸びてる?」

同じデータを持っているのに、答えられない。

この詰まりは、スキル不足ではなく、“見方が設計されていない”ことで起きます。

Power BIなどで使われるDAX関数は、単なる計算式ではありません。

同じデータでも、どの視点で見るかを切り替えるための仕組み

つまりDAXは、「計算」ではなくデータの見方を設計するための言語です。

DAX関数は数多く存在しますが、現場で繰り返し使われるパターンは限られています。
本記事では、その中でも「データの見方を設計する上で核になる10個」に絞って整理します。

ここでは、関数を網羅するのではなく、

・どんな“問い”に答えるために使われるのか

・その結果、どんな意思決定が変わるのか

という流れで整理します。

この記事を読み終えた明日には、同じデータでも「どの切り口で見れば判断できるか」を自分で設計できるようになります。


まず押さえたい:

DAXは「問いに対する見方」をつくる

同じ売上データでも、問いが変われば見るべき数字は変わります。

同じデータでも見方によって見るべき数字が変わる例
・全体は伸びているか?

・どのチャネルが伸びているか?

・どの顧客層が利益に貢献しているか?

この「問いごとに見方を切り替える」ために、DAX関数が使われます。

ここからは、実際の現場でよく出てくる“問い”ごとに、どの関数がどう使われるのかを見ていきます。


① 「特定の条件で見たい」─世界を切り替える

例:広告が効いているかを知りたい

全体売上:1,200万円

「今月いい感じですね」で会話が終わりそうになる。
でも実際に知りたいのはここ。

「広告って意味あったの?」

この問いに答えられないと、
次のアクション(増やす/止める)が決まらない。

ここで必要なのが「広告という条件で切った世界」です。

条件でデータを絞ることで見る世界が変わるイメージ

📌CALCULATE / FILTER / ALL

・CALCULATE:条件を変えて再計算する

・FILTER:条件に合うデータだけを取り出す

・ALL:いまかかっている条件を外して“全体”に戻す

どう見え方が変わるか
→ 「全体」ではなく「広告だけの世界」が見える

意思決定はどう変わるか
→ 広告費を増やすのか、他チャネルに回すのかを“根拠を持って”決められる


② 「過去と比べたい」─変化を捉える

例:今月の伸びは本物か?

全体売上:1,200万円(前月比 +8%)

一見良さそうに見える。
でもここでよく起きるズレ。

「たまたまキャンペーン当たっただけでは?」

実際に前年同月を見ると

  • 前年同月:1,250万円(実は下がっている)

“伸びている”という認識が一瞬で崩れる。

前月比では成長しているが前年比では減少している例

📌SAMEPERIODLASTYEAR / DATEADD

・SAMEPERIODLASTYEAR:前年同期間を取得する

・DATEADD:時間軸をずらして比較する

どう見え方が変わるか
→ “点”ではなく“文脈付きの変化”としてデータが見える

意思決定はどう変わるか
→ 一時的な成果か、本当に伸びているのかを見極められる


③ 「単位を変えて見たい」─集計の粒度を変える

例:売上は伸びている。でもなぜか利益が残らない

・売上合計:1,200万円(好調)

・利益合計:150万円(思ったより少ない)

ここで起きているのは

  • 「売上」という見方と
  • 「利益」という見方のズレ

単純な合計では、このズレは見えない。

売上ランキングと利益ランキングの順位がズレている例

📌SUMX / AVERAGEX

・SUMX:1件ずつ計算して合計

・AVERAGEX:1件ずつ計算して平均

どう見え方が変わるか
→ 商品ごとの利益や、顧客単位の価値といった“構造”が見える

意思決定はどう変わるか
→ 売上を追うのか、利益を取りにいくのかという判断軸が変わる


④ 「どこに注力するか決めたい」─優先順位をつける

例:全部やりたい。でもリソースが足りない

・商品A:300万円
・商品B:250万円
・商品C:80万円

現場ではよくこうなる。

  • 「全部伸ばしたい」

でも現実は

  • 「どれかに集中しないといけない」

📌RANKX / TOPN

・RANKX:順位をつける

・TOPN:上位N件を抽出する

どう見え方が変わるか
→ “全部”ではなく“優先すべき対象”が見える

意思決定はどう変わるか
→ リソースをどこに集中させるか、迷わず決められる


⑤ 「割合で見たい」─指標として整える

例:施策AとB、どちらが良かったのか?

A:訪問数 10,000 → CV 200
B:訪問数 2,000 → CV 80

数字だけ見ると、Aの方が良さそうに見える。

でも割合で見ると

A:CVR 2%
B:CVR 4%

評価が逆転する。

訪問数は少ないがCVRが高く効率が良いケースの比較

📌DIVIDE

・DIVIDE:エラーを防ぎながら割り算を行う

どう見え方が変わるか
→ 数値が“比較できる指標”に変わる

意思決定はどう変わるか
→ 見かけの数字ではなく、本質的な成果で判断できる


まとめ

DAX関数は、単なる計算式ではありません。

どの問いに対して、どの見方でデータを切り取るか

を決めるための手段です。

重要なのは、関数を覚えることではなく、

  • どんな問いを立てるか
  • その問いに対して、どう見れば判断できるか

を考えることです。

データを「集計する」から「意思決定に使う」へ。

その一歩として、本記事の10関数を“使い分けの型”として捉えてみてください。

数字は正しい。
でも、見方を間違えると意思決定は簡単にズレる。

だからこそ、重要なのは「どの関数を使うか」ではなく、
「どの見方でデータを見るか」を設計することです。


もし、
「自社のデータをどう切れば意思決定につながるのか分からない」
「レポートはあるが、アクションに繋がっていない」
と感じているなら、データの“見方設計”から見直す必要があります。

UDATAでは、データ分析の前段である「問い設計」から支援しています。お気軽にご相談ください。

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