はじめに:BIツールは導入されるが、Excelは消えない

近年、多くの企業で次のようなBIツールの導入が進んでいます。

  • Power BI
  • Tableau
  • Looker
  • GA4
  • 各種ダッシュボード

「データドリブン経営」「データ活用」といった言葉も、企業の中で一般的になりました。

しかし、BIツールを導入したからといって、必ずしもデータ運用が変わるわけではありません。

実際には

・BIツールを導入したが、あまり見られていない
・最初は使われていたが、徐々に更新されなくなった
・会議資料は結局Excelで作られている

といった状況は、BI導入プロジェクトやデータ活用の現場でもよく見られるパターンです。

つまり

BIツールを導入しても、運用の中心はExcelのまま

というケースは珍しくありません。

本記事では、この現象を

ツールの問題ではなく「データ運用の構造」

として整理します。


企業の計画・分析ツール利用状況

海外の調査(FP&A Trends Survey 2024)でも、2024年時点において企業の計画・分析業務では依然としてスプレッドシートが多く利用されていることが報告されています

    ツール

 利用割合

スプレッドシート(Excel等)

52%

クラウド計画プラットフォーム

18%

BIツール

16%

企業の計画・分析ツール利用状況(スプレッドシート52%、クラウド計画プラットフォーム18%、BIツール16%)

出典:FP&A Trends Survey 2024(最新公開調査)

この調査からも分かる通り、BIツールが普及している現在でも

スプレッドシートは重要な分析・レポーティングツールとして使われ続けています。

つまり現実のデータ運用は

BIツールに完全に置き換わるのではなく、Excelと併存する形

になっているケースが多いのです。


データ活用の現実:BIとExcelは併存している

BIツール導入企業でも、実際の運用では

  • Excel
  • Googleスプレッドシート

が併用されているケースは少なくありません。

例えば次のような役割分担がよく見られます。

   用 途

   ツール

ダッシュボード閲覧

BIツール

数字の加工

Excel

レポート作成

Excel

会議資料

PowerPoint + Excel

つまり

BI = 閲覧・共通指標
Excel = 作業・分析ツール

という使い分けです。

BIとExcelの役割分担

BIとExcelの役割分担(BIは共通KPIやダッシュボード閲覧、Excelは分析・仮説検証・データ加工)

この構造があるため

データ活用 = BIツール導入

とは必ずしもならないのが実態です。


なぜExcel中心の運用が続くのか

BIツールが導入されても、Excel中心の運用が続く理由は主に3つあります。

Excelが使われ続ける理由(計算式・手動修正・仮の集計などExcelの柔軟性)

① 加工の自由度

Excelでは

・計算式
・手動修正
・仮の集計

といった作業をすぐに行うことができます。

一方BIツールでは

・ETL
・指標定義

などの設計が必要になる場合が多く

「少し数字を変えて確認する」

といった作業はExcelの方が速いこともあります。


② 運用コスト

BIツールは

・データ更新
・データ整形
・モデル設計

などの運用が必要です。

運用体制が整っていない場合

・更新が止まる
・データが古くなる

という状況が起きやすく

結果として

「最新の数字はExcel」

という運用になりやすくなります。


③ KPI設計の問題

もう一つの理由は

KPI定義が曖昧なケースです。

BIツールは

  • 指標定義
  • データ構造

が固定されるため

「この数字はどう計算しているのか」

が明確になります。

しかし実際の現場では

・定義が部門ごとに違う
・計算方法が曖昧

といったケースも多く

Excelで都度調整する方が都合がよい

という状況が生まれます。


問題はツールではなく設計

この現象は

  • BIツールが悪い
  • Excelが古い

という話ではありません。

問題の本質は

データ活用の設計です。

具体的には

  • KPI定義
  • データ更新プロセス
  • 運用体制

が整理されていない場合

ツールを導入しても

運用はExcel中心のままになりやすい

という構造があります。


データ活用が進む会社の特徴

実際にデータ活用が進んでいる企業では

次のような設計がされています。

  • KPI定義が明確
  • データ更新プロセスが決まっている
  • BIが会議の共通指標として使われている

この状態になると

Excelは

  • 分析
  • 仮説検証

といった用途で使われ

BI = 意思決定の基盤

として機能するようになります。


まとめ

BIツール導入は

データ活用の第一歩ではあります。

しかし

ツール導入 = データ活用

ではありません。

実際の企業では

  • BI
  • Excel
  • レポート

が併存しながら運用されています。

重要なのは

BIとExcelの役割を設計することです。

・KPI定義
・運用プロセス
・意思決定の使い方

これらが整理されて初めて

BIツールは意思決定の基盤として機能するようになります。

Excelをなくすことが重要なのではなく、

BIとExcelの役割を設計することが重要なのです。


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