― Power BIで読み解く、価格・成分・肌質ニーズの可視化 ―
スキンケアやコスメを選ぶとき、私たちは「乾燥が気になる」「敏感肌でも使えるものがいい」「できればコスパも大事」など、いくつもの条件を同時に頭の中で処理しています。
今回、コスメ商品のデータセット(cosmetics.csv:全1,472商品)をPower BIで可視化し、カテゴリ・価格・評価・成分・肌質といった要素が「商品選び」にどう影響しているのかを分析しました。
“文字が並んだCSV”をダッシュボードに落とし込むことで、
「数字の裏にあるお客様のニーズや心理」を立体的に把握できることが分かります。

■ コスメラインナップの全体像:平均55ドル・評価4.1の世界

ダッシュボード全体から見えてくるのは、このデータセットに含まれるコスメが、
- 商品数:1,472点
- ブランド数:116ブランド
- 平均価格:約55ドル(3〜370ドルの幅)
- 平均評価:約4.15 / 5
という構成であることです。
カテゴリ別では、
- モイスチャライザー:298商品
- クレンザー:281商品
- フェイスマスク:266商品
- トリートメント:248商品
- アイクリーム:209商品
- 日焼け止め:170商品
と、保湿系・洗顔・マスク・美容液まで、スキンケアのフルラインが揃ったデータになっています。
Power BIのKPIカードでは、
「商品数」「ブランド数」「平均価格」「平均評価」を一目で確認でき、
「このブランド群がどれくらいの価格帯・評価レンジにいるのか」を瞬時に把握できます。
■ カテゴリ別の価格と評価:高い=高評価とは限らない
カテゴリごとに「平均価格」と「平均評価」を見てみると、興味深い特徴が見えてきます。
- トリートメント:平均約79ドル・評価4.22
- モイスチャライザー:平均約69ドル・評価4.24
- アイクリーム:平均約64ドル・評価3.81
- 日焼け止め:平均約46ドル・評価4.05
- フェイスマスク:平均約43ドル・評価4.17
- クレンザー:平均約33ドル・評価4.31
価格だけを見ると、トリートメントやモイスチャライザー、アイクリームが“高価格帯カテゴリ”として目立ちます。
しかし、評価に注目すると、最も価格の低いクレンザーが、むしろ高評価(4.31)を獲得しているのが分かります。
Power BIの縦棒グラフで「カテゴリ別商品数」「カテゴリ別平均価格」を表示すると、
- どのカテゴリに商品が集中しているか
- 単価の高いカテゴリはどれか
- 価格に対して評価が追いついていないカテゴリはないか
が直感的に見えてきます。

■ ポイント
「高価格=高評価」とは限らず、カテゴリごとに“コスパの良いポジション”が存在する。
■ 肌質別の対応状況:敏感肌対応は約半分という現実
このデータには、各商品がどの肌質に向けて設計されているかが0/1で記録されています。
- 混合肌向け:全体の約66%
- 乾燥肌向け:約61%
- 普通肌向け:約65%
- 脂性肌向け:約61%
- 敏感肌向け:約51%
つまり、
- 「混合/乾燥/普通/脂性」の4属性については、
全体の6割前後の商品がカバー - 一方で「敏感肌対応」と明示されている商品は、
全体の“約半分”にとどまる
ということが分かります。
Power BIの積み上げ棒グラフで「カテゴリ×肌質フラグ」を可視化すると、

フェイスマスクやモイスチャライザー、アイクリームは敏感肌向け比率が比較的高い一方で、
クレンザーや日焼け止めはやや低め、といった傾向が見えてきます。
■ ポイント
“オールスキンタイプ”と謳いながら、敏感肌まできちんとケアしている商品はそれほど多くない。
敏感肌対応は、まだまだ差別化要素になりうる。
■ 成分の世界:ベースは似ていても「一滴の違い」でブランドらしさが出る
成分(Ingredients)をPower BIで分解して集計すると、
- 水(Water / Aqua)
- グリセリン(Glycerin)
- 各種オイル(●● Oil)
- グリコール系保湿剤(Butylene Glycol など)
- シリコン系(Dimethicone など)
- 防腐剤(Phenoxyethanol、Paraben など)
- 紫外線散乱剤(Titanium Dioxide / Zinc Oxide)
といった“どのブランドもよく使うベース成分”が高頻度で登場します。
一方で、ブランドごとの差別化要因は、
- 特定の植物エキス(◯◯ Leaf Extract/◯◯ Root Extract など)
- 発酵エキス(例:Galactomyces Ferment Filtrate)
- ヒアルロン酸やセラミド、ペプチドなどの訴求成分
といった「一滴」の違いに現れています。

Power BIで「成分別 登場回数ランキング」や「特定成分を含む商品の平均評価」を可視化すれば、
- どの成分が“定番”なのか
- どの成分が“ブランドの個性”として効いているのか
を定量的に追うことができます。
■ ポイント
ベース処方は似ていても、“どの成分を前面に押し出すか”でブランドらしさと差別化が生まれる。
■ 価格×評価の散布図:データで見る「神コスパ」コスメ
Power BIの散布図で「価格(X軸)×評価(Y軸)×カテゴリ(色)」を描くと、
- 右上:高価格・高評価の“ラグジュアリーゾーン”
- 左上:低価格・高評価の“神コスパゾーン”
- 右下:高価格だが評価が伸びない“苦しいポジション”
といった“ポジショニングマップ”が見えてきます。
フィルターを使って、
- 評価が平均以上(4.15以上)
- 価格が平均以下(55ドル以下)
という条件で絞り込めば、
「平均より安く、評価が高い」=“お得コスメ候補”だけを一覧できます。

■ ポイント
散布図で「価格×評価」を見ることで、
直感的に“どこにコスパの良い商品が集まっているか”が分かる。
■ 1ページダッシュボードで“スキンケア選びの心理”を見える化
今回の分析では、Power BIの1ページダッシュボードに次の要素を集約しています。
- KPIカード:商品数・ブランド数・平均価格・平均評価
- カテゴリ別バーグラフ:ラインナップと価格帯
- 散布図:価格×評価によるコスパ可視化
- 肌質別積み上げバー:敏感肌対応などのカバレッジ
- 商品テーブル:スライサーで絞り込んだ最終候補リスト
スライサーでカテゴリやブランド、敏感肌向けかどうかを切り替えると、
ダッシュボード全体が連動して変化し、特定のターゲットに対して最適な商品ポートフォリオがどうなるかを、
リアルタイムで確認できます。
■ データから見える「スキンケア選びの本質」
このコスメデータを通して見えてきたのは、次の3つの軸です。
- 価値軸:価格と評価のバランス
- 高価格帯でも評価が伸びないカテゴリもあれば、
低価格帯でも高評価を獲得しているカテゴリもある。
- 肌質軸:誰に届けるか
- 敏感肌対応商品はまだ半数程度で、
ここをどう広げるかが差別化と信頼獲得のカギになる。
- 成分軸:何で差別化するか
- ベース成分は似通っているからこそ、
植物エキスや発酵成分などの“キーメッセージ成分”の選び方と語り方が重要。
生のCSVではただの数字と文字の集合ですが、
Power BIで可視化することで、「お客様はどんな価値を求めているのか」「ブランドはどこで差別化しているのか」という“物語”が浮かび上がります。
Power BIは、データを単なる数値から、
「お客様の心理やニーズを理解するためのストーリー」に変えるツールです。
そして、そのストーリーこそが、商品企画・マーケティング・ブランド戦略を磨くための第一歩なのです。
データは、数字ではなく“お客様の声”を映す鏡です。
スキンケア選びの背後にある“心理”を可視化することで、ブランドが届けたい価値はより深く伝わります。
UDATA株式会社では、Power BIを活用した顧客分析・購買行動の可視化を通じ、商品企画やブランド戦略の意思決定を支援しています。
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