はじめに企業の重要な羅針盤であるKPI(重要業績評価指標)。売上や利益、達成率といった数値を集計することはできても、それをどのように見せれば、経営層や現場にとって「一目で伝わるダッシュボード」になるのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。「上司に資料を説明しても、結局どこを見ればいいか伝わらない」 「ダッシュボードを作ったのに、ごちゃごちゃしていて使いにくいと評価された」 「目標達成度をどう表現すれば、チームのモチベーションにつながるだろうか」こうした悩みは、情報の「見せ方」に起因していることがほとんどです。 本記事では、Power BIでKPIを可視化する際に最も基本的なビジュアルである「カード」と「ゲージ」に焦点を当て、以下のポイントを徹底解説します。それぞれのビジュアルが持つ役割と特徴実務で差がつく具体的な使い分け方多くの人が陥りがちな失敗例とその改善策一歩進んだデザインTipsこの記事を読むことで、あなたのダッシュボードはただの「数字の羅列」から、「意思決定を加速させる強力なツール」へと進化します。カード:シンプルに「最重要KPI」を強調する強みと役割瞬時に数値を伝える:大きな文字で数値を表示するため、誰が見てもすぐに理解できます。ダッシュボードの顔:画面の冒頭に配置することで、最も重要なKPIを先に提示し、レポート全体の方向性を示せます。弱みと注意点文脈を持たない:数値そのものは伝えられても、「目標に対する達成度」までは示せません。情報過多に注意:カードを並べすぎると、ただの数字の羅列になり、重要度がぼやけます。実務での活用法ダッシュボードの左上やトップに、最重要な3〜5個のKPIをカードで配置するのが定石です。 【例】営業KPIダッシュボード売上:5,200万円新規獲得件数:120件顧客満足度:91%ゲージ:目標に対する「進捗」を直感的に伝える強みと役割直感的な進捗表現:メーターの色や針の位置で、目標達成度がひと目でわかります。緊急性の可視化:未達なら赤、達成なら緑など、色で迅速な意思決定を支援します。弱みと注意点スペースの占有:メーター形状は面積を取りやすく、数を並べると窮屈になります。比較には不向き:差分の読み取りや並列比較は棒グラフのほうが適します。実務での活用法ゲージは「目標達成の重要度が高いKPI」に絞って使うのが効果的です。 【例】売上目標達成率目標金額:6,000万円実績金額:5,200万円達成率:87%失敗例から学ぶ!効果的なダッシュボードの作り方失敗例:情報過多でわかりにくいダッシュボードNG例では、売上・新規獲得件数・顧客満足度・売上目標・解約率・対象月など、多くの指標をカードで一度に並べ、さらに担当別の達成率までゲージで複数表示しています。要素が画面全体に溢れ、結果として「どこを見ればよいのか」が非常にわかりにくい状態です。このNG例には、次の3つの典型的失敗が含まれます。カードを乱立させる 重要な指標が埋もれ、ユーザーが何に注目すべきか分かりません。すべてをゲージ化する 担当者ごとにゲージを並べると“スピードメーター博物館”のようになり、比較に不向きです。色のルールがバラバラ 「赤=未達、緑=達成」といったルールが統一されていないと、状況判断を誤らせ、信頼性も損ないます。改善策:主要KPIを絞り、全体進捗はゲージで補足改善例では、カードを「売上」「新規獲得件数」「顧客満足度」の主要3KPIに限定。ユーザーが最初に見るべき数字が明確になり、レポートのメッセージが一目で伝わる構成になっています。さらに「売上達成率」をゲージで1つだけ示し、全体の進捗を短時間で把握できるようにしています。色のルールも整理し、未達/達成の判断が直感的に行えるようになりました。「伝える」ためのデザインTips1. カードとゲージをワンセットで使う数値(カード)と文脈(ゲージ)を組み合わせると、情報理解が格段に速くなります。 例:「売上 5,200万円」の隣に「達成率 87%」のゲージ。2. スパークライン(ミニチャート)を添えるカード横に推移(過去12か月など)を表示し、トレンドも同時に伝える。3. 条件付き書式で状況を自動表示目標未達なら赤、達成なら緑など、状態に応じて自動で色やアイコンを切り替える。まとめ:ダッシュボードは「意思決定のツール」へPower BIのカードとゲージは、どちらもKPIを可視化するための強力な武器です。しかし、ただ配置するだけでは真価を発揮しません。主要な数値はカードで示し目標に対する進捗はゲージで補足情報過多を避け、色や配置のルールを一貫させるこれらを徹底することで、ダッシュボードは「ただの数字の集合」から、「ビジネスの意思決定を支える強力なツール」へと進化します。UDATA株式会社では、今回ご紹介したようなデータ可視化のノウハウに加え、データ基盤構築からマーケティング戦略の立案まで、データ活用のあらゆる面で企業の成長をサポートしています。データ活用の課題をお持ちの際は、ぜひこちらからお気軽にご相談ください。