1. Difyとは何か?最近、生成AIを活用したサービスや業務改善の事例がどんどん増えていますよね。とはいえ、「AIって難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。そんな中で登場したのが Dify(ディファイ) というノーコードプラットフォームです。Difyは、プログラミングの知識がなくても、AIを活用したアプリや業務フローを直感的に作れるというのが最大の魅力です。ワークフローを組み立てる感覚は、まるでレゴブロックをつなげていくような感じで、UI(ユーザーインターフェース)もとてもわかりやすく、初めて触る人でも迷わず操作できます。特に注目したいのが以下の3つの特徴です:① ノーコードでAIアプリが作れる Difyの設定画面(チャットフロー)たとえば、「よくある問い合わせに自動で答えるチャットボットを作りたい」「会議の議事録を要約してくれるツールがほしい」—— そんなとき、Difyならプログラミング不要で、これらのアプリを自分で作ることができます。画面上の操作はとてもシンプル。メニューから必要な機能を選んで、設定するだけで、まるでフォームを埋めていく感覚です。あとは、どのAI(GPT-4やGeminiなど)を使うかを選べば、専門知識がなくても高度なAIアプリが完成します。要約・翻訳・画像解析・分類・会話対応など、いろいろなAI処理を組み合わせられるので、「個人用の便利ツール」から「業務用の自動化アプリ」まで幅広く対応できます。② 直感的なワークフロー設計Difyの魅力は、なんといってもその「見える化された操作感」です。 「入力 → 処理 → 出力」という一連の流れを、ブロックを繋げる感覚で作成できるため、業務の自動化やサービス設計がとてもスムーズです。 入力 処理 出力入力には、フォーム入力、ファイルアップロード、画像読み取り、チャットのやり取りなどを指定できます。そして「処理」ではAIモデルの応答を使って、データの構造化や計算処理を実行できます。たとえば、画像から取り出した文字列を整理して、スプレッドシートや、Notionに出力することも可能です。最後の「出力」では、生成された結果をそのままチャットとして返すだけでなく、Google Sheetsに保存したり、Slackへ通知を送ったり、Notionページに追記したりと、様々な外部サービスと接続できます。ノーコードとは思えないほど、自由度の高い”業務フロー構築ツール”でもあるのです。③ モデルの切り替えと選択式UIが便利Difyは、プロンプト(AIへの指示文)は1つでも、複数のAIモデルでテスト&切り替えが可能という点も非常に実用的です。たとえば、GPT-4での応答精度が高いか、Claudeでの処理が早いか、などの検証を一つのプロジェクト内で比較できます。さらにユーザーが操作する際には、「どんなテーマで話すか?」や「どの処理を実行するか?」といった選択肢形式のインターフェースも簡単に組み込めます。 たとえば、日々の健康を管理する「健康管理チャットボット」なら、1.「今日は何を記録しますか?」→「睡眠」「食事」「運動」2.「睡眠を記録」→「何時間寝ましたか?」といった分岐付きのチャット体験をGUIだけで設計でき、ユーザー側もストレスなく操作できます。このように、Difyでは「AIの力を自分で自由に活用する」という感覚が実現しやすいのがポイントです。 「質問分類器ブロック」を使用して、簡単に分岐処理が作れる!2. 基本的な使い方と作成例Difyでは、「入力 → 処理 → 出力」というシンプルな流れをベースに、AIを活用したさまざまなアプリケーションを作成することができます。 ここではまず、プロンプトを書くだけで完成するシンプルなチャットボットの作り方からご紹介し、続けて、より柔軟な対話が可能な「チャットフロー」で構築した睡眠診断ボットの例を紹介します。● プロンプトだけで作れる、かんたんチャットボットDifyで最も手軽に始められるのが、「プロンプトを1つ書くだけで作れるチャットボット」です。たとえば、以下のようなプロンプトを入力するだけで、専用のAIボットが完成します。プロンプト例:「ユーザーが入力した文を、敬語に言い換えてください。」これだけで、入力された文をていねいな表現に変換してくれるチャットボットが出来上がります。他にもたとえば:・「文章を200字以内で要約してください」・「旅行先を決めかねている人に、おすすめの国内観光地を3つ提案してください」・「エンジニア向けに、Slackで送る朝会の挨拶文を考えてください」といった具合に、「やってほしいこと」を自然な文章で書くだけでOK。あとはモデル(GPT-4など)を選ぶだけで、用途に特化した専用チャットボットがすぐに使えます。もちろん、Webで共有したり、社内に配布したりも簡単です。● チャットフローで作る、“睡眠診断ボット”もう少し高度な処理や、ユーザーの入力をもとに診断を行いたい場合は、Difyのチャットフロー機能が活躍します。たとえば私が実際に作成した「睡眠診断チャットボット」では、以下のような構成になっています:ステップ1:まずは5項目を一括入力最初の画面では、以下のような質問がまとめてフォーム形式で表示されます。・平均睡眠時間(時間単位で入力)・年齢・寝つくまでの時間(分)・夜中に目覚める回数・起床後の疲労感(5段階評価)ユーザーはこれらの項目を一気に入力・選択して送信するだけです。ステップ2:AIによる処理(コードブロック利用)次のステップでは、入力された数値情報をもとに、コードブロックを通じてスコアを算出します。(たとえば「睡眠効率=睡眠時間 ÷ ベッドにいた時間」など)Difyでは、チャットフロー内にPythonライクなコードを直接組み込める「コードブロック」が用意されており、この機能を使って以下のような簡易的なロジックで睡眠の質を分類しています:(pythonでのコード)if sleep_time < 5 or tiredness_level >= 4: result = "質の低い睡眠(要改善)"elif 5 <= sleep_time <= 7 and tiredness_level <= 3: result = "平均的な睡眠"else: result = "良好な睡眠" こうした数値評価 → 分類ロジック → 診断結果の生成といった処理を、ノーコードの範囲内で柔軟に組み込めるのもDifyの強みです。ステップ3:結果の出力とアドバイス提示最後に、GPT-4が診断結果に応じたアドバイスを自然な文章で返します。たとえば、・「あなたの睡眠はやや浅めで、起床時に疲労感が残っている傾向があります。就寝前にブルーライトを避ける習慣をつけてみましょう。」・「良好な睡眠が取れています。今後も就寝時間を安定させて、リズムを保ちましょう。」といったように、ユーザーに合わせた丁寧なフィードバックを自動生成してくれます。このように、一括入力+自動処理+柔軟な出力を組み合わせることで、「ユーザーが入力したデータに基づいて、客観的な評価とアドバイスを返すチャットボット」がノーコードで実現できます。業務向けに応用すれば、たとえば「社員の体調チェック」や「顧客の簡易ヒアリング」にも転用できる仕組みです。3. 活用の可能性Difyの魅力は、「AIを使ったアプリが作れる」ことだけではありません。業務に組み込むことで、日々のルーティンや手作業を減らし、仕事の質とスピードを高めることができるのも、大きなポイントです。ここでは、Difyが実際に活用されている代表的なシーンをご紹介します。● 非エンジニアでも、業務自動化の担い手になれるこれまで業務の自動化といえば、プログラムが書ける人にしかできないイメージがありました。しかし、Difyを使えば、エンジニアでなくても「自分の仕事をラクにするAIツール」を作れるようになります。たとえば:・お問い合わせメールの内容をAIが自動要約し、Slackに送信する・アンケートの自由記述をGPTが分析し、改善点を抽出する・商談メモをもとに、AIが次のアクションを提案してくれるなど、自分の身の回りの「ちょっと面倒なこと」を、AIに代行させるツールが、誰でも手軽に作れるのです。実際、事務職や広報、営業サポートなど、非エンジニアの方でもDifyを活用して、部署内の業務改善をリードしている例が増えています。● Google SheetsやBigQueryとの連携で、社内業務にもフィットDifyは、ただチャットで答えを返すだけではありません。Google Sheets、Slack、Notion、BigQueryなど、さまざまな外部サービスと連携できるのが大きな強みです。たとえば、・チャットで入力した売上データを、自動でGoogleスプレッドシートに記録・名刺画像から抽出した内容を、BigQueryに構造化して保存・回答済みの診断結果を、Notionの「顧客カルテ」に自動追記 といったように、自社のツール群とつなげて実務に落とし込むことができます。さらに、Apps ScriptやWebhookと組み合わせれば、さらに高度なワークフローの自動化も可能です。「AIを組み込んだ業務システム」を、時間もコストもかけずに作れるというのは、Difyならではのメリットです。● 社内の「作業ボット」を誰でも育てられる時代へDifyが目指すのは、AI活用を一部の専門家だけのものにしないこと。社員一人ひとりが、自分の仕事にあったAIボットを作り、育て、業務の質を上げていく、そんな環境づくりにぴったりのツールです。「業務にAIを取り入れたいけど、どうしたらいいかわからない」「社内のデジタル化を進めたいけど、リソースが足りない」そんな悩みを抱える企業やチームにとって、Difyは最初の一歩として非常に心強い選択肢になるはずです。4. まとめDifyは、ノーコード×AIという組み合わせの中でも、特に「実用性」と「導入のしやすさ」に優れたプラットフォームです。プログラミングの知識がなくても、テキストを入力するだけでAIチャットボットを作れたり、チャットフローやコードブロックを使って、より高度な業務フローの自動化にもチャレンジできたりと、まさに「誰でも・いますぐ・仕事に使える」ツールと言えます。また、Google SheetsやBigQueryといった外部ツールとの連携もスムーズにできるため、現場の業務にそのまま取り入れやすいというのも大きな魅力です。これからの時代、AIを活用した業務改善は“特別なこと”ではなく、“当たり前の選択肢”になっていきます。Difyはその第一歩として、とても取り組みやすく、かつ応用の幅が広いツールです。「ちょっと気になってるけど、自分にできるかな…」そんな方こそ、ぜひ一度Difyを触ってみてください。 最初の一歩さえ踏み出せば、「AIを使いこなす自分」を感じられるはずです。