サブスクリプション型・継続課金型のビジネスにとって、新規顧客の獲得と同じくらい重要なのが「既存顧客にどれだけ長く使い続けてもらえるか」です。- どんな顧客が解約しやすいのか- 契約形態やサービス内容は解約率にどう影響するのか- どこに手を打てば解約を減らせるのかといった問いに答えるヒントは、契約・利用データの中に眠っています。今回分析したのは、外部公開されている Kaggle(カグル)の通信会社(電話・インターネット)の顧客7,043件分のデータです。Power BIで1ページのダッシュボードに整理してみると、解約の起きやすさは「契約形態」「在籍期間」「サービスの使い方」「支払い方法」という、比較的少数の切り口にはっきりと表れていることがわかりました。全体像:顧客7,043件のうち、26.5%が解約- 総顧客数:7,043件- 解約数:1,869件- 全体解約率:26.5%- 平均月額料金:10,362円- 平均契約期間:32.4ヶ月解約した顧客と継続している顧客を比べると、その差はより鮮明になります。区分:平均月額料金:平均契約期間- 解約:11,911円:18.0ヶ月- 継続:9,802円:37.6ヶ月解約した顧客は、継続している顧客よりも月額料金が高く、契約期間が短い傾向にあります。「料金の高さ」と「在籍の浅さ」が、解約の二大シグナルになっていそうです。契約形態別に見ると、解約リスクは「月単位契約」に集中している- 月単位 :42.7% 3,875件 - 1年契約:11.3% 1,473件 - 2年契約: 2.8% 1,695件 月単位契約の解約率は42.7%と、2年契約(2.8%)の実に15倍以上です。契約形態は、解約率にもっとも大きな影響を与える要因だと言えます。長期契約への移行を促す施策は、解約防止のもっとも直接的なレバーになります。在籍期間が短いほど、解約率は跳ね上がる在籍期間帯: 解約率 - 0-12ヶ月:47.4% - 13-24ヶ月:28.7% - 25-48ヶ月:20.4% - 49-60ヶ月:14.4% - 61ヶ月以上:6.6% 契約から1年以内の顧客の解約率は47.4%と、ほぼ2人に1人が離脱しています。一方で5年(61ヶ月)以上利用している顧客の解約率は6.6%まで下がります。「最初の1年をどう乗り越えてもらうか」が、長期的な解約率を左右する分かれ道になっています。サービスの使い方は、解約率と強く連動するインターネットサービスの種類別では、光回線(フィバー)契約者の解約率が41.9%と、DSL(19.0%)やインターネット未契約(7.4%)に比べて突出して高くなっています。インターネットサービス:解約率:件数 - 光回線:41.9%:3,096件 - DSL :9.0%: 2,421件 - なし :7.4%:1,526件 さらに、インターネットを契約している顧客に絞って「セキュリティ・バックアップ・サポート・ストリーミングなどの追加サービスをいくつ使っているか」で見ると、はっきりした傾向が見えます。追加サービス利用数:解約率 - 0個:52.2% - 1個:45.8% - 2個:35.8% - 3個:27.4% - 4個:22.3% - 5個:12.4% - 6個:5.3% 追加サービスを1つも使っていない顧客の解約率は52.2%である一方、6個すべて使っている顧客では5.3%まで下がります。追加サービスの利用は、単なるオプション売上ではなく、顧客の定着(ロイヤルティ)そのものに直結していると考えられます。支払い方法別では、「電子小切手」利用者の解約率が突出支払い方法 :解約率: 件数 - 電子小切手:45.3% :2,365件 - 郵送小切手:19.1%:1,612件 - 銀行振替(自動):16.7%:1,544件 - クレジットカード(自動):15.2%:1,522件 自動引き落とし系(銀行振替・クレジットカード)の解約率は15〜17%程度に収まっているのに対し、電子小切手の解約率は45.3%と際立って高くなっています。支払い方法そのものが解約の原因というよりも、「都度の手続きが必要な支払い方法を選ぶ顧客は、サービスへのロイヤルティがそもそも低い」傾向の表れと見るのが妥当でしょう。このデータから比較的はっきり言えそうなこと1. 解約リスクは「契約形態」と「在籍期間」に集中している — 月単位契約・契約1年未満の顧客は、それぞれ解約率42.7%・47.4%と、他のセグメントと比べて突出して高い。2. サービスの使い方が定着度を映す — 追加サービスの利用数が多いほど解約率は一貫して下がり(52.2%→5.3%)、光回線のような主力サービス単体の契約は解約に直結しやすい。3. 支払い方法・請求方法は「ロイヤルティの代理指標」になりうる — 自動引き落とし・長期契約を選んでいる顧客ほど解約率が低く、契約条件の見直しは解約防止策として有効に働きやすい。データを「現状把握」から「行動のヒント」へ「全体の解約率は26.5%」という数字だけでは、次に何をすべきかは見えてきません。しかし契約形態・在籍期間・サービス利用状況・支払い方法という複数の切り口をPower BIで重ね合わせることで、- 月単位契約の顧客に、長期契約への切り替えメリットをどう訴求するか- 契約初年度の顧客に、どんなオンボーディング・フォローを行うか- 追加サービスのクロスセルを、解約防止施策としてどう位置づけるか- 電子小切手など都度払いの顧客に、自動引き落としへの移行をどう促すかといった、具体的な打ち手につながる優先順位が見えてきます。Power BIで可視化すると、解約データは「結果の集計」ではなく「次に何をすべきか」を示す地図になります。UDATA株式会社では、Power BIを活用したデータ可視化・ダッシュボード設計・分析支援を行っています。ご相談はこちらのお問い合わせよりお気軽にご連絡ください。