Microsoft PowerBI Desktopにてレポートを作成し保存しようとすると、標準の「.pbix」のほか、「.pbip」、「.pbit」などいくつかの拡張子があることがわかります。似たような形式が多いため、一体何を意味するのかわかりにくいと思う方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、そんなMicrosoft PowerBI Desktopにて用いられるファイル拡張子について、代表的なものを解説します!Microsoft PowerBI Desktopで使われる主なファイル拡張子PowerBIで作成されるファイルには、以下のように複数の拡張子が存在します。ファイル形式特徴主な用途.pbix単体保存、全部入り個人作業、一般的なレポート作成.pbipフォルダ単位、分離管理チーム管理、Git管理.pbitテンプレート統一感あるレポートの作成.pbidsデータソース定義接続先の統一・クイック作成このうち最もよく使われる拡張子は「.pbix」で、PowerBIにてファイルを作成する際にデフォルトで保存される形式となっています。しかし、その他の拡張子を使いこなすとほかの人との共同作業やデータベースの活用などの際に応用しやすく、便利です。ただ初めのうちは見慣れない拡張子だらけのため、それぞれの特性がわかりにくく混乱するかもしれません。そのため、今回の記事では作業をする中でも比較的使われることの多い「.pbix」と「.pbip」の特性の違いを中心に、主な拡張子の特性について簡単に解説します。「.pbix」とは?:デフォルトで設定される最も一般的な単体保存形式PowerBIで最もよく使う拡張子が「.pbix」です。Excelでいうところの「.xlsx」のように、Power BI Desktopの標準の保存形式となっており、特に指定がない限り必ずこの拡張子で保存されるようになっています。また「.pbix」はすべての作業内容をひとまとめ(全部入り)で保存するファイルであるという特性を持ちます。そんな「.pbix」について、以下に構成要素やメリット・デメリットについて説明します。「.pbix」ファイルに含まれるもの.pbixファイルは、PowerBI Desktop上で操作してデータ可視化を行った時に用いた、以下のような情報を含んでいます。インポートした元データ:CSV、Excel、SQLなどのデータテービルのリレーションシップ(関係性)や構造グラフ、表、カレンダーなどのびじゅありゼーションツール計算式やメジャーなどのDAX計算式ページのレイアウトやスタイルこれらの情報はすべて「.pbix」ファイル1つに保管され、Power BI Desktopを起動し当該ファイルを開けば、保存したファイルを確認したり編集したりできるのが特徴です。分析や可視化に必要な構成要素がすべて1ファイルで完結しているのが、「.pbix」ファイルの大きな特徴であると覚えておきましょう。「.pbix」ファイルのメリットとデメリット拡張子「.pbix」を持つファイルのメリットには以下のような物が存在します。単体保存されるので、1つのファイルで元データや関係性、データビジュアルなどすべての情報を管理できる。データ・モデル・レポートが全部入りで一括保存される。ローカルに保存することが可能なため、インターネット環境がなくても編集・閲覧を行うことが可能である。ファイルが1つのため、メールやOneDrive、チャットツール(SlackやChatWork、Microsoft Teams)で簡単に共有することができる。フォルダ構造ではないため直感的に簡単に使えるため、初心者で扱いやすい。上記のなかでも「.pbix」はファイルが1つであるという扱いやすさから、個人作業や社内でのシンプルなレポート作成に向いているといえます。またオフラインで利用しやすいため、インターネット環境を利用しにくい事業所のPCでも使えるのも大きな強みといえるでしょう。ただファイルが1つのため、万が一削除してしまうとすべてのデータビジュアライゼーションの要素が消えてしまうという問題点があります。また単独ファイル・全部入りの代償として無駄な要素が入りやすい、データ容量が大きくなるとファイルの更新に時間がかかりやすくなるといったデメリットも存在することには注意したほうがいいでしょう。「.pbip」とは?:Power BIのプロジェクト形式ファイル「.pbip」とは正式には「Power BI Project」といい、Power BI Desktopの新しい保存形式の一つです。上述したように「.pbix」がレポートやデータモデル、ビジュアルなどの要素を1つのファイルにすべてを詰め込んだ「全部入りの単体保存形式」であるのに対し、「.pbip」はレポートやデータモデルなどのそれぞれの要素を分けて保存する「構成ファイル+フォルダ形式」になります。この形式はチーム開発やバージョン管理(Gitなど)に適した設計であり、より柔軟な運用を可能にします。そんな「.pbip」について、以下に構成要素やメリット・デメリットについて説明します。「.pbip」ファイルの構成はどうなっている?「.pbip」形式で保存されたプロジェクトは、ひとつの「.pbip」ファイルと複数の構成フォルダから成り立っています。代表的なファイル構成は以下の通りです「.pbip」ファイル:プロジェクト本体のファイル「config.json」:設定ファイルJOSN形式のレポート定義ファイルデータモデル定義ファイル「.pbip」形式は上記のように中身が分解されて保存されるため、必要な部分だけを個別に編集したり、変更履歴を追いやすくなるのが大きな特徴です。「.pbip」のメリットとデメリット:チームや開発者にうれしい仕組みだが、ファイル構造が複雑なのが問題点に上述したように「.pbip」形式のファイルは、データビジュアライゼーションを構成する要素についていくつかのファイルに分けて保存されているのが特徴です。これには以下のようなメリットがあります。JSON形式のテキストファイルで構成されているため、変更内容をコードで確認可能。そのため。Gitでのバージョン管理がしやすい。レポートとデータモデルが分離されているため、それぞれについて担当者を分けて複数人で分担しやすい。構成要素ごとに効率的に管理できるため、「.pbix」ファイルに比べて軽い容量になる。テキストベースで構成されているため、AIやRPAツール、Copilotなどの自動化ツールとの相性がいい総じて「.pbip」形式は複数人での作業がしやすいのが特徴といえるでしょう。一方ファイル分けされる代償として以下のようなデメリットがあることにも留意してください。慣れない人が誤って必要なファイルを削除してしまう可能性がある複数のファイルを共有する必要があるため、メールやチャットツールでの共有がしにくい。上記については必要なファイルを1つのフォルダにまとめて圧縮して送る方法もあるが、文字化けなどのリスクに細心の注意が必要。PowerBIで用いるそのほかの拡張子についてPowerBI Desktopには「.pbix」や「.pbip」以外にも様々なファイル形式がございます。その中でも代表的なファイル形式である「.pbit」と「.pbids」について簡単に解説します。「.pbit」とは?:テンプレートとして使えるPower BIファイル「.pbit」とはPower BI Templateの略称で、(テンプレート)ファイルを意味する拡張子です。レポートの構造や見た目、データモデルなどを保存しつつ、中身のデータだけを除いたファイル形式となっています。毎月提出するの売上レポートのようにレイアウトや計算式、グラフの種類が全く同じだが、読み込むデータが異なるといった場合に便利なファイルといえるでしょう。「.pbit」形式のファイルは容量の軽いファイルで使いまわしができるという点で強みがあります。ただ万が一データ構造が異なるファイルがでてしまうとエラーが発生し修正が必要になるという点には注意が必要です。「.pbids」とは?接続情報だけを保存する軽量ファイル「.pbids」は、正式には「Power BI Data Source」ファイルと呼ばれ、レポートの中身やビジュアルを含まない「データ接続情報」専用のファイルです。.pbidsファイルを使うと、サーバー名やデータベース、接続方式などのデータ接続情報のみをあらかじめ定義して保存するだけで、それをもとにレポート作成をスタートできます。JSON形式の少容量のためサーバーやローカルへの負荷が少なく、接続設定も起動時に繁栄されるためすぐに使えるというのが特徴です。「.pbids」形式のファイルは、会社に新たに入ってきたメンバーのために、設定方法の共有の際に向く拡張子といえるでしょう。一方拡張子「.pbids」を持つファイルは、グラフやビジュアルなどを含まずデータベース自体は事前に用意する必要がある点には注意しましょう。まとめいかがだったでしょうか。Microsoft PowerBI Desktopには一般的な「.pbix」のほか、Gitによるバージョン管理などに向く「.pbip」、レポートのひな型として用いられる「.pbit」、データ接続情報を保存する「.pbids」といったファイル拡張子があることを説明いたしました。初心者の方の場合は単独ファイル・全部入りで扱いやすくメールなどで送付しやすい「.pbix」ファイルがおすすめです。筆者も基本的にはこの形式でレポートを作成しお客様にわたすようにしています。ただ「.pbix」形式はファイル容量が重くなりやすく、バージョン管理もしにくいため共同作業という点では難があるのも事実です。データを扱うメンバーが増え更新情報などの管理が重要になる場合は「.pbip」形式のファイルも作るようにするなど、会社やチームの状況、データベースの整備状況などに合わせて利用するファイル形式を多様化していくとよいでしょう。