PowerBIでありがちな時系列単位に関するトラブル年単位、四半期単位、月単位など様々な時系列で売り上げなどを分析する時系列分析においてはBIツールがよく使われます。PowerBI Desktopも例外ではありません。しかしPowerBI Desktopで時系列分析を行うために推移グラフなどを作成すると、時系列分析に必要な日付に関する表示のトラブルにしばしば見舞われます。実際、以下のような問題に直面し、お困りになった方も多いでしょう。年月日を同時に出せないトラブル月表示が勝手に英語になるトラブルまずはこのトラブルについて簡単に説明し、次章にて解決方法を説明します。なお、本記事ではサンプルとして以下のランダムのエクセルファイルを用意しています。2023年1月1日〜2025年5月31日までの総合スーパーの売上データのサンプルです。ファイルはこちらよりダウンロードください。これをPowerBIに読み込み、X軸に日付・Y軸に売上をとることで下図のようなグラフが作成できます。(タイトルなどは別に加えたものです。)月別の売上データを同時に出せないPowerBIの売り上げ推移のグラフを作成する際にありがちなのが、X軸に日付データを置くと、上記の図のように単位が「年」、「四半期」、「月」、「日」と自動的に別れてしまうトラブルです。このとき、月別の売り上げ傾向を調べるために「年」と「四半期」を外して「月」の表示にすると以下のようなグラフが表示されます。一見すると正しいグラフに見えますが、実は1月~5月は2023年、2024年、2025年の3年間の合計値で、6月以降は2024年と2025年の2年分の合計値になっています。このように年をまたがった機関を対象にすると、月によっては2年以上のデータが表示されてしまうというトラブルに見舞われます。このままでは正確な分析ができません。PowerBIのグラフの月が勝手に英語になってしまうまた前述した図については。月が「January」、「February」など英語で表示されています。こちらもエクセルでは日付は数値になっているものの、PowerBIで月別にすると自動で英語で表示されており、「〇月」や「〇〇〇〇年〇月」といった日本語表記でのグラフ表示にならなくなっています。日本語でデータを作成していてもこの事態になるため、はじめてPowerBIで推移グラフを作成する際には戸惑うかもしれません。PowerBI Desktopの時系列表示の問題を解決する4つのステップ上記に見たトラブルを解決するには、PowerBI上で以下の4ステップを得ることで解決する必要があります。日付・時刻の自動設定の解除カレンダーテーブルの作成日付テーブルのマーク既存テーブルとのデータリレーションシップの確立それぞれについて、以下に図解しつつ解説します!①「オプション」にて「日付・時刻」の表示の自動化を止めるまずPowerBI Desktopのメニューバーから「ファイル」→「オプションと設定」→「オプション」という順番でクリックし、上図のように表示されるように遷移してください。続いて、表示されるグローバルの中から「データの読み込み」を選び、「タイムインテリジェンス」のところにある「新しいファイルの自動の日付/時刻」のチェックを外します。チェックを外したらウィンドウ右下の「OK」ボタンをクリックしてください。これにより英語で自動的に月名が指定される問題は解消されます。②カレンダーテーブルを作成続いてはモデルを取り込んだのちカレンダーテーブルを作成します。モデルの読み込み方法については、記事の都合上省略します。(詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。)まずは上図のように、メニューの「モデリング」から「新しいテーブル」をクリックします。続いて表示されるテーブルの式に以下のDAX関数の式をコピー&ペーストしてください。日付テーブル = 参照:Power BI 勉強帳:日付(カレンダー)テーブルカレンダーにコピー&ペーストしてチェックを入れると、「日付テーブル」という新たなテーブルが作成されます。ただ出典の都合上、このコードでは2016年4月1日~2020年3月31日までのデータとなっています。そのため分析したい期間に基づいて、「VAR StartDate」、「VAR EndDate」の二つの関数の値をそれぞれ変更してください。今回のサンプルファイルの場合は以下のようになります。VAR StartDate = “2023/01/01”VAR EndDate = ”2025/05/31”変更すると日付テーブルは以下の図のようになります。なお表示形式を増やしたい場合には、30行目と31行目の間に値を追加することで別の表示方法を追加することができます。③日付テーブルのマークテーブルを作成したら、PowerBIファイルの右メニュー「データ」にある「日付テーブル」の個所を右クリックし、「日付テーブルとしてマークする」を選択してください。下図のようなウィンドウが表示されるので、「オン」にしたうえで、日付列として「Date」を指定してください。指定し終えたら「保存」ボタンを選択します。④既存のデータとリレーションシップを取る最後にテーブルを選択した状態でメニューバーに表示される「リレーションシップの管理」を押し、下図が表示されたら「+新しいリレーションシップ」ボタンをクリックしてください。「新しいリレーションシップ」ウィンドウが表示されたら以下2つをしてしてください。「日付テーブル」:「Date」列分析対象のデータテーブル(ここでは売上データ):日付が表示された列(ここでは「日付」)指定し終えたら「保存」を押してください。これにより、グラフのX軸の値に「日付テーブル」の「年月_yy年MM月」を選ぶことができるため、正確な月別比較分析ができるようになります。なおこれだけではX軸は時系列的に正しくない時があるため、その際にはグラフの「その他のオプション」より「軸の並び替え」を選択し、「年月_yy年MM月」・「昇順で並び替え」を実施することで時系列順に並び替えられることも覚えておいてください。まとめいかがでしたか。売上の月別推移など、時系列分析はPowerBI Desktopを使う場面が多いものの、年月日の表示でつまづく初心者の方が後を絶ちません。「年月」・「四半期」など様々な単位を使い分けられるようにするためにも、この記事で説明したカレンダーテーブルやデータリレーションシップなどの手法をマスターするようにしましょう。参考文献アイシーティリンク株式会社公式ブログ「Power BI の日付テーブルの作り方」note 2024年4月3日@y-komuro (Yoko Komuro)「Power BI 勉強帳:日付(カレンダー)テーブル」Qiita 2019年1月23日