2025年、Instagramは新たな動画編集機能「Edits」をリリースしました。この機能は、動画編集のUI改善だけでなく、マーケターにとって極めて価値ある「分析環境の進化」として注目を集めています。なぜ「Edits」が今、話題なのか?背景には、Instagramにおけるリールの重要度がさらに増し、「動画の数」ではなく「動画の成果」を求められる時代に入ったことがあります。特に運用担当者にとって、“感覚”ではなく“数値”で改善する力が必須となってきた今、Editsの登場は大きな転換点です。実際にEditsを使ってみて感じたことまず特筆すべきは、インサイトデータの視覚性と分析しやすさが圧倒的に向上している点です。たとえば、スキップ率(例:66.04%)平均再生時間(例:6.24秒)保存率・いいね率・シェア率 などのエンゲージメント指標が%で表示されリテンション率は秒単位でグラフ化され、離脱ポイントが一目瞭然どこから流入したか(発見・検索・ストーリーズなど)も割合で可視化など、従来では得づらかった“投稿の弱点”が、数値で見えるようになったのです。ただし、Editsには「投稿ツール」としての欠点もある編集時には次のような実務的な制限も感じました:課題具体例回避・対策方法モザイク機能なし顔・車のナンバーなどの加工が不可CanvaやVLLOなどで事前加工するキーフレーム機能なしアニメーションの細かな調整不可動きが必要な素材は他アプリで作成フォントが限られているブランド表現に限界ありテキストは他アプリで入れる前提で作業動作の不安定さ保存失敗、動画入替できない等編集後はデータの複製保存が必須本体への負荷が大きい編集中に発熱し操作に支障作業時間を短く、または他デバイスで行う子どもや人物が映る動画運用者にとっては“致命的”特に、私が担当しているような「子連れのお出かけ紹介」のように、一般人の顔が映り込みやすいモザイクや部分編集が必要時間軸ごとのテロップや動きが重要といったジャンルでは、Edits単独で完結するのは非常にリスクが高いと感じました。そして重要な事実:Edits経由の投稿でしかインサイトが見られないわけではないここが誤解されやすいポイントですが、Editsを使わなくても、Edits形式のインサイトは閲覧可能です。つまり、「Editsで投稿しないと詳細インサイトが見られない」というわけではなく、既存投稿でもEditsのインサイトUIにアクセスできる。このことから、Editsは“投稿ツール”というより、“分析プラットフォーム”としての活用が本質的価値だと考えています。私の運用スタイル(2025年5月現在)こうした特性を踏まえて、私自身は以下の方針で運用しています:動画編集はCanva+VLLOで完結投稿は通常どおりの手順で行い、Editsは「分析のために見る場所」として利用音声入力・BGMなど一部要素だけEditsを補助的に使うこともあるが、あくまでメインではないEditsをおすすめする人・しない人おすすめする:スピーディにインサイトを見たいマーケターナレーションやBGMを後付けで入れたい人投稿改善PDCAを数字ベースで進めたい人おすすめしない:モザイクやテロップ精度が求められる動画ジャンル(子ども・医療・教育など)ブランドの世界観に沿った細かい編集が必要なアカウントまとめInstagramの「Edits」は、編集機能そのものは未完成ながら、分析環境としては非常に優れたツールです。無理にすべてEditsに切り替えるのではなく、編集は従来ツール、分析はEditsというハイブリッド活用が、SNSマーケターにとってもっとも合理的な運用戦略と言えるでしょう。